Research On Protozoa

原虫の研究

原虫のイメージ
What are Protozoa?
原虫とは

原虫は微小な単細胞生物で、自由生活性のゾウリムシなどのほか、マラリアなどヒトや動物に寄生するグループがいます。
ウイルスや細菌より巧妙な体を持ち、感染様式も多様です。水や食物から直接感染する原虫もいますが、蚊(カ)、ツェツェバエ、マダニなどの吸血性節足動物により、ヒトや動物にマラリア、トリパノソーマ、バベシアなど多くの原虫が感染します。
原虫の生存戦略や感染様式の解明は感染対策のためにも重要です。

原虫の感染によりヒトや動物の健康に大きな影響があるため、予防・治療方法の開発が望まれており、基礎研究からフィールドサイエンスまで様々なアプローチで研究が行われています。

Research On Protozoa In Our Laboratory
当研究室における原虫の研究について

主に野生動物、特に鳥類に見られる鳥マラリア原虫などのベクター媒介性の住血原虫について、国内の感染状況の解明に始まり、予防・診断・治療などへの応用へ向けた研究を行っています。 学内外の研究者、動物園・水族館、野生動物保護施設との共同研究も積極的に行っています。病原体の遺伝子情報を手掛かりに、フィールドにも出かけながら研究を進めています。 そして、温暖化などの環境変化と感染症との関係を解明できればと考えています。

鳥類の住血原虫についてのイメージ
鳥類の住血原虫に関する研究

鳥マラリア原虫、ヘモプロテウス、ロイコチトゾーンなどの鳥類の住血原虫を対象に、国内の野鳥や飼育下鳥類における原虫保有状況を調べています。各地の動物園・水族館の飼育鳥類や、傷病鳥獣保護施設の保護鳥類現状を解明することにより、今後の環境変化による様々な影響、例えば温暖化による渡り鳥の飛来日の早期化の影響などを検討できないかと考えています。

【主な研究課題】
  • 野鳥における住血原虫保有状況および感染動態の解明
  • 動物園などの飼育下鳥類における住血原虫感染診断および防除に関する研究
病原体のベクターのイメージ
病原体のベクターに関する研究

上の研究課題と密接に関連し、野生動物が保有する病原体の感染サイクルの解明を目指しています。鳥マラリア原虫などの住血原虫に加え、鳥ポックスウイルス、哺乳類や鳥類のフィラリア線虫を媒介する昆虫を捕獲・同定し、分子学的手法を用いて病原体保有の有無を調べます。サンプル採取のために国内各地の現場にフィールド調査に出かけることもあります。

【主な研究課題】
  • 住血原虫を媒介する吸血性昆虫(蚊、ヌカカ、シラミバエ、ブユ)の生態および原虫保有状況の解明
  • これら媒介昆虫(ベクター)が吸血する動物種の分子学的推定
  • 原虫以外にも国内のフィラリア線虫および鳥ポックスウイルスの分布を解明